通称「メグロ」。かつての伝説のバイクが、75年前の製造の地、栃木県で復活中だ。映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」の撮影に使われたものと同型の希少な1台を、現代の技術で新品同様によみがえらせようとしている。全国のファンが集う「聖地」で、新しいエンジン音を響かせられるか、期待が集まる。
メグロは1924(大正13)年創業の二輪車メーカー、目黒製作所(東京)のバイクだ。太平洋戦争末期の44年、目黒製作所は栃木県烏山町(現那須烏山市)に工場疎開し、戦後、烏山工場となりバイク製造を担った。走行性能や品質の高さで知られ、警視庁の白バイや東京五輪(1964年)の先導車に採用された、当時のライダーの憧れだった。
この烏山工場で造られた49年製「Z号」を、3年で新品同様に修復するプロジェクトが進行している。
那須烏山商工会の15社が技術を持ち寄り、バイクのカスタム専門店を営む沢村宜樹さん(41)を中心にレストア(修復作業)が進む。作業は今年で2年目。エンジンまわり以外はほぼ仕上がった。
詳細な設計図やデータはない。欠けたネジは残っている当時のものを参考に、1本ずつ手作りする。別の機種のものだったマフラーは、借りた本来のマフラーを3Dスキャナーで読み取り、金属ブロックから削り出した。車体の塗装も、栃木県産業技術センターで色みや成分を分析し、限りなく当時に近づけた。
沢村さんは「来年はエンジン音を響かせたい」と意気込む。
新型車発売、地元が動き出した
メグロは地元でも忘れられた…